昇華された涙の表現を誘う不滅のアレグレット★フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン・交響曲7番

不滅のアレグレット ― 第2楽章は、ことによるとクレンペラーを凌ぐかもしれない。心の通いきったヴィオラ、チェロは、これこそ本当の精神の音で曲が盛上るにつれて感動の波が高まり、クライマックスに於ける昇華された涙の表現はフルトヴェングラーの独壇場である。

 フルトヴェングラーはブラームスを評して「非常に客観的な音楽家」といい、「音楽における客観とは、音楽と精神、精神と音楽が結び付いてひとつになった時に起こるのである」といっています。この偉大な指揮者はブラームスの音楽は彼の哲学そのものであると喝破したのです。それは、そのままベートーヴェンにも当てはまり。それがドイツの交響曲に対する彼の表現方法なのだろう。
 フルトヴェングラーの音楽を讃えて、「音楽の二元論についての非常に明確な観念が彼にはあった。感情的な関与を抑制しなくても、構造をあきらかにしてみせることができた。彼の演奏は、明晰とはなにか硬直したことであるはずだと思っている人がきくと、はじめは明晰に造形されていないように感じる。推移の達人であるフルトヴェングラーは逆に、弦の主題をそれとわからぬぐらい遅らせて強調するとか、すべてが展開を経験したのだから、再現部は提示部とまったく変えて形造るというような、だれもしないことをする。彼の演奏には全体の関連から断ち切られた部分はなく、すべてが有機的に感じられる。」とバレンボイムの言葉を確信しました。これが没後半世紀を経て今尚、エンスーなファンが存在する所以でしょう。しばらくカラヤンを聞き続けた耳には、伝統的なそれは、どんより曇った暗い演奏に聞こえるに違いない。しかし、この曲はカラヤンもフルトヴェングラーの延長線上にいる。
 ここでは弦楽器の美しいウィーン・フィルの特質が活き、十分に歌わせ柔らかく艶やかな音色が音楽に寄り添って、第1楽章から明るい響きでウィーン・フィルの魅力一杯。 序奏、響きは柔らかい。木管、ホルンと穏やかに歌いこまれる。ヴァイオリンの静謐な弱音。勢いと音量を増し、ヴァイオリンとコントラバスの高音と低音が明瞭に奏でられる。コントラバスからヴァイオリンへの低音から高音への推移も明瞭。 第1主題、「無からの生成」の間とエレガントな「生成」のすばらしさ。コントラバスのソフトな太さからヴァイオリンの高貴な高音まで、美しいサウンドが過不足なく奏でられてくる。 第1、第2ヴァイオリンの掛合いの鮮明さ。第2楽章のチェロのレガートが美しい。1943年演奏と比べて流れを重視した音楽運び。チェロ、コントラバス共に明晰、明瞭。チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンの音色も素晴らしい。チェロの音色が圧巻。生々しく艶がある。 第1、第2ヴァイオリン、コントラバスの高音と低音のコントラストのバランス。 第2部「不滅のアレグレット」は、木管群とホルンがソフトにまろやかに歌われる。第3楽章での緩やかに、時にシャープに刻まれるリズム。自然な流れの良さ。トリオ、通奏のヴァイオリンが清々しい。ソフトに堂々と構築されるフォルテシモ。終楽章は速いテンポでも各楽器が瑞々しく細部に至るまで鳴りきっている。 ダイナミックレンジ、ワイドレンジは自然な範囲での最大限。ソフトで厚みのある、そして、ここぞというところで唸りと、うねりを聴かせる低弦。浮揚する伸びのある高域。音色と分離が明瞭で豊かな音。演奏を堪能できフルトヴェングラーが1音1音に込めた意図が余すところなく再現されていく。

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FR VSM FALP30031 フルトヴェングラー ベートーヴェン・交響曲7番《仏 ラージ・ドッグ・セミサークル・ラベル銀文字フラット盤》FR VSM FALP30031 フルトヴェングラー ベートーヴェン・交響曲7番 「第7はある意味では最もフルトヴェングラー向きの作品ではないだろうか。たとえばフィナーレだが、この踏み外し寸前の情熱、そのアッチェレランド効果の凄まじさ、オーケストラの生々しい鳴らし方はドラマチックな解釈の最高峰で、かのクレンペラーと両極を成し、立派さにおいてはクレンペラーを、音のドラマにおいてはフルトヴェングラーを採るべきであろう。 第2楽章はことによるとクレンペラーを凌ぐかもしれない。心の通いきったヴィオラ、チェロはこれこそ本当の精神の音で、曲が盛上るにつれて感動の波が高まり、クライマックスにおける昇華された涙の表現はフルトヴェングラーの独壇場である。 その他、第1楽章のものものしい序奏部、スケルツォの前進してやまない運動性も抜群で、緩急自在であり、とくに速い部分のスピード感は圧倒的だ。これに対し、中間部では思い切ってテンポを落とし、ウィンナ・ホルンのフォルテピアノやその後の酔いしれたリタルダンドも強い印象を与える。」と音楽評論家の宇野功芳氏は解説する。

通販レコード詳細・コンディション、価格

FR EMI FALP30.031 – Wilhelm Furtwängler, Wiener Philharmoniker - BEETHOVEN - Symphony No.7

レコード番号
FALP30.031
作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
オーケストラ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
録音種別
MONO

販売レコードのカバー、レーベル写真

FR VSM FALP30031 フルトヴェングラー ベートーヴェン…FR VSM FALP30031 フルトヴェングラー ベートーヴェン…

"LARGE DOG IN SEMI-CIRCLE" WITH SILVER LETTERING, MONO FLAT 1枚組(220g), Stamper 21B/21B。

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX-
製盤国
FR(フランス)盤

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クレンペラー フィルハーモニア管 ブラームス 交響曲全集 揺るぎない安定感で作品書法に漂う絶妙な香りを聴かせる。

1956年から57年にかけての録音で、70代になったばかりで気力充実のクレンペラーが残した名演。ゆったりとしているが決して遅くない、緊迫感みなぎるブラームスです。1番、4番はがっちりとした構築性の高い名演として名高いですが、ロマンあふれない2番、3番も非常にユニーク。ブラームス素晴らしさを違った角度で見せてくれるステレオ最初期の名盤です。

リハーサル盤付き*カラヤン美学の徹底した カラヤン指揮ベルリン・フィル モーツァルト・後期6大交響曲集

カラヤン&ベルリン・フィルによるモーツァルト後期6大交響曲集。同コンビで1975~1977年にはDGGからもリリースしていますが、EMI盤がダーレムのイエス・キリスト教会での録音、DG盤がフィルハーモニーザールでの録音ということで、サウンドの傾向には大きな違いが見られます。本盤はイエス・キリスト教会の豊かな響きを存分に生かした分厚く豊麗な仕上がりとなっています。4枚組ですが、4枚目はリハーサルが収録されており、カラヤンがどのように音楽を作っていったのかが、よくわかります。ノイズはほとんどなく、ボックスも年代相応の擦れ程度のコンディション良好なセットです。

楽曲そのものに語らせるかのようにふくよかで、情感を前面に打ち出した ベーム ウィーン・フィル ブラームス 交響曲全集

会社変遷史:1953年4月日本ポリドール株式会社が設立。1956年、日本グラモフォン (Nippon Grammophone Co., Ltd.) に改組。1959年、ステレオ・レコード発売開始。第1号はロリン・マゼール指揮ベルリン・フィル、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」(SLGM-1)から偉大ドイツグラモフォンわが国でスタートした。1971年11月、ポリグラム傘下のポリドール株式会社(Polydor K.K.、以下ポリドールK.K.)に社名変更。ということで「日本グラモフォン社」と印刷されているジャケは全て1971年以前となることからお届けする盤の製造年月日お判りいただけると思います。参考としてSLGM****は日本グラモフォン時代の初期のチューリップ、MG****はノーマル(このMG****がオリジナル盤も存在)に分別できますが日本グラモフォン最後期盤といえども50年経過していて当時のオーディオ・カートリッジ品質勘案すると「ニアミント盤」発掘は今となっては困難極めています。

DGGに無い魅力が本盤に有る*カラヤン指揮ベルリン・フィル ドヴォルザーク・新世界より、スメタナ・モルダウ

カラヤンは同曲を何度も録音しており、EMIだけで2回録音していますが、これは1957-58年の旧録音で、カラヤン壮年期のベルリン・フィル就任3年目のセッション。カラヤンのコロンビア/EMI録音は基本的にフィルハーモニア管弦楽団ですが、これは珍しいベルリン・フィルとの録音。

クラシック名録音106究極ガイドが選んだ◉ゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ響 ベートーヴェン・交響曲9番「合唱」

ショルティは、1972年5月から1974年9月にかけて、シカゴ交響楽団を指揮して初のベートーヴェンの交響曲全集を録音しました。さらに、その後1986~89年にも再録音がなされていますが本セットは前者。ショルティならではの筋肉質な演奏で、鮮やかに浮かび上がるオーディオファイル盤

リハーサル盤付き*カラヤン美学の徹底した カラヤン指揮ベルリン・フィル モーツァルト・後期6大交響曲集

カラヤン&ベルリン・フィルによるモーツァルト後期6大交響曲集。同コンビで1975~1977年にはDGGからもリリースしていますが、EMI盤がダーレムのイエス・キリスト教会での録音、DG盤がフィルハーモニーザールでの録音ということで、サウンドの傾向には大きな違いが見られます。本盤はイエス・キリスト教会の豊かな響きを存分に生かした分厚く豊麗な仕上がりとなっています。4枚組ですが、4枚目はリハーサルが収録されており、カラヤンがどのように音楽を作っていったのかが、よくわかります。ノイズはほとんどなく、ボックスも年代相応の擦れ程度のコンディション良好なセットです。

ロシア戦勝曲の評判 初演では大砲を鳴らしたかったチャイコフスキー、祖父の国はウクライナ、そして彼はロシア人

ヴィオラとチェロのソロが奏でる正教会の聖歌「神よ汝の民を救い」にもとづく序奏に始まり、以後木管群と弦楽器群が交互に演奏する和音の強奏で序奏を終えると、ロシア軍の行進が近づいてくる。この部分はボロジノ地方の民謡に基づくといわれている主題。フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の旋律をホルンが演奏するのをきっかけに、金管楽器群が激しい咆哮、戦闘が始まる。「大砲」がフランス軍を撃退すると、教会の鐘が一斉に鳴り渡り、「大砲」は祝砲に変わり戦争の終わりを告げる。

おしゃれクラシック/甘美と哀愁の狭間で〜ハート・オブ・チャイコフスキー イギリス・デッカの優秀録音

2020年に生誕180周年を迎えたピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840~1893年)の音楽は、私たちの心に寄り添う音楽。時に甘く、時に悲しく、深く、語りかけるその音楽は、子どもから大人まで聴く者の心をとらえて離しません。チャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」ほど色彩豊かなドラマを感じて弾ける曲はないと思います。出だしから自分が主人公になった気分で興奮したり、感動したり、嘆いたり、チャイコフスキーのメロディの中にはポエムがあります。日本の歌にも寂しげな懐かしさがあるので、私たち日本人も強く共感できるのかもしれません。
 そして、愛の喜びと悲しみ、人間の運命との闘い、信教上の心の動きなど。チャイコフスキーは、難解なロシアの民謡・文化をベースにしながらも、その上で色々なテーマを万国共通に分かりやすく曲にできる人でした。
幅広くヨーロッパの文化を受けとり、自国だけではなく、世界中で芸術活動をし、それでいて本当にロシア人が理想とするロシア人のような人でした。あの時代、自分の感情を自由に表すことは社会的に無理でした。苦しいところ、気をつけないといけないところが沢山あったので、表には出さず、自分の心の動きを見つめていたのではないでしょうか。子供の頃から文学好きの愛国者で、ロシアの歴史や文化、民族音楽を深く理解していただけでなく、全世界にも強く興味を持ち、数ヵ国語を話すことができました。
チャイコフスキーの生きた19世紀は民族主義運動の勃興の時代。オーストリアの音楽家が毎年訪れていた音楽界、我が国ロシアこそと、音楽芸術の世界では民族主義的な音楽が持て囃されていたのでした。若いチャイコフスキーが数々のウクライナ民謡を単に引用するのではなく、交響曲の骨子となる全曲の主題として採用したことに、これからの音楽のあり方を模索していた五人組の新進作曲家たち ― バラキレフ、ボロディンやリムスキー=コルサコフなども絶賛した、この交響曲第2番は、作曲家ではなく当時活躍していた評論家によって「小ロシア」というニックネームが与えられている。大変にウクライナ色の強い交響曲ということで「小ロシア」というタイトルなのですが、ウクライナ国に対する蔑称的色合いがあるとのことで近時は「ウクライナ」と記載することが多くなっている。

ブルックナー・ファン必聴のケンペ チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団 交響曲8番 2種

ケンペらしい、ドイツらしい引き締まって美しい弦の響きと、意外に豪快な金管の組み合わせが絶妙な名演。スイスの高級レコード頒布会社Ex Librisから1973年に発売され、録音の優秀さでも話題となりました。権利関係が複雑なためか2000年代までCD化されず、幻の名演としてマニアの間で再発が待望された名盤のオリジナル盤です。