浦壁信二ピアノ・リサイタル オール・ラヴェル・プログラム in 熊本市健軍文化ホール

スクリャービン、ストラヴィンスキーときて、ラヴェルで臨む。浦壁信二さんのキャリアは長い。ストラヴィンスキーは2003年。スクリャービンは1996年2月というのだから、実績で築きあげてきたキャリアといえる。そんなことは知らないから、写真を見て若いと感じた。1969年10月生まれ、42歳になったばかりだ。それは遅咲きとかというものではない。フルトヴェングラーの最も偉大な『バイロイトの第九』の裏で画策された主役の時代が移りゆく時のカラヤンが、その時43歳だった。
戦後復活された最初のバイロイト音楽祭の開幕を飾った「バイロイトの第九」は誰もが知っている名演盤だけど、もしかしたらレコードにクレジットされる指揮者の名前はフルトヴェングラーではなくて、カラヤンである可能性がある。この記念すべき戦後第一回のバイロイト音楽祭の主役は、紛れもなく43歳のカラヤンだった。フルトヴェングラーは『栄光』という花道を譲られた・・・と、この話は別項で続けるとして、浦壁信二さんのストラヴィンスキーは耳にしているかもしれない。名前の文字面だけはどこか記憶の端に映像がある。水の戯れで鏡に裏文字が海原の小舟のように揺れただけかもしれない。確かなことだとは言えません。
でも、可能性はあるもののちょうどその自分にストラヴィンスキーの室内楽曲に夢中だったこともあった。
浦壁信二さんは、中学生の時にロストロポーヴィチが指揮するワシントン・ナショナル交響楽団と共演。自作曲も披露したというのだから、鼻っ柱は高かっただろう。その後の栄光でも、20世紀のピアノ音楽で賞を獲得していく。そこにはどこかしか、向こう気の強さも感じられる。しかしそれがある意味荒波に磨かれる結果になったのだろう、とは成果はずっと先に出るはずだ。今回、新しくリリースされたアルバムは『ラヴェル:ピアノ・ワークス第1集』とある。となれば腰を据えてラヴェルを演奏して行かれる表明だと受け止めた。
作曲家の道は早いうちに放棄して、10本の指で豊かな響きを生み出すピアノの虜になったというのだから、これからラヴェルの音楽でどう聴かせてくれるか楽しみです。
今日、11月30日。これから熊本市健軍文化ホールでピアノ・リサイタルが行われます。ここには熊本市内でも益城文化会館と並ぶ、自慢のピアノがあります。ただし、商店街のアーケードを抜けた先にあるコンサートホールであることもあってか、日頃はピアノの発表会に使われているぐらいの残念さがある。ホールとしてのキャパシティも、300人から400人といったピアノの演奏に耳を傾けるのに程よし。ホールに音が響きと言うよりも、サロンで耳を傾けるような距離感で音がある。演奏者の呼吸も感じられるほどだし、客席の呼吸もステージで感じられるんじゃないかと思っている。超贅沢なオーディオ装置で聞いているように錯覚するほどです。

浦壁信二ピアノ・リサイタル

演奏プログラムは、ラヴェルの音楽の移り変わりを俯瞰するような有名曲ばかり。
プログラム
  1. グロテスクなセレナード
  2. 亡き王女の為のパヴァーヌ
  3. 水の戯れ
  4. シャブリエ風に
  5. ボロディン風に
  6. ソナチネ
    1. 悲しい鳥たち
    2. 海原の小舟
    3. 道化師の朝の歌
    4. 鐘の谷
  7. ラ・ヴァルス
 
意表をつくアンコール曲
東京で今年の4月に行われたプログラムを、そのまま持ってきてくださいました。それと同時にリリースされ、レコード芸術特選盤に選ばれた『水の戯れ〜ラヴェル:ピアノ作品全集1』で聴ける曲がまるごと。CDの方はプロモーション効果のある曲順になってましたが、リサイタルはラヴェルのピアノ曲の『進化』を俯瞰する発表順。秀作から、磨き上げられ一部の隙のない『ラ・ヴァルス』で華やかに、感動的に締めくくられた。
特に『ラ・ヴァルス』の前にプログラミングされた『鏡』は、第3曲の『海原の小舟』の中ほどで、聴いていて息が詰まった。終曲の『鐘の谷』では、金縛りにあったようでゾクッとする久々の音楽の魔性に触れてしまったようです。前半のサロンムードに満ちたプログラムと、ヴィルトゥオーゾ溢れる『ラ・ヴァルス』はコントラストよろしく、無難な流れかとプログラミングだけでは感じて聴き始めたリサイタル。それがそれがよく寝られた構成だったと、稀なものでした。プログラムだけだったら、誰にでもそれなりの演奏会にはなるでしょう。しかし、胸ぐらをつかまれ注ぎ方次にと音楽が流し込まされるようなことは起こらないでしょう。ただただ時間が流れていくだけでしょう。 ラヴェルの余韻を楽しませるアンコールは何か、期待を裏切られることはなかった。しかし、それは意表をつく3曲でした。
  1. クープラン作曲 神秘のバリケード
  2. ラモー作曲 鳥のさえずり
  3. シャブリエ作曲 アルバムの一ページ
『ラヴェルと縁のあるフランス・バロックと、シャブリエの原曲を選びました。』
と、浦壁信二さんから説明がありましたが、 ラヴェルには『クープランの墓』があるし、『鏡』の第2曲「悲しい鳥」はラモー、ダカンの『カッコウ』がラヴェルの脳裏に無かったとは思えない。そして何よりも、健軍文化ホールのスタインウェイがホールに満ちるほど良い余韻。泡切れの良いビールのように、微細な音でも反応が速い。ホールとピアノが一体になっている素晴らしさは、聴いていて心地良いのですから演奏する人はレスポンスの良さは爽快でしょう。優れたピアニストであるほどに安定感のある、遊びのない響きになる。充実したハイエンド・オーディオを聴く喜びにも似ています。
アンコールの3曲は、前々から用意されていたものか熊本市健軍文化ホールを下見されていたのかは定かではありませんが、多くのピアニストがこれらがどう響くのか、遊び心をくすぐるんじゃないかしら。
チェンバロで演奏された、「神秘のバリケード」と「鳥のさえずり」は中野振一郎さんのチェンバロ演奏が今夜の演奏を思い出しながら聞き比べるのにふさわしい。会場の様子からは馴染みが薄いのか、新鮮に楽しんでいるようでした。
今夜のコンサートで『アルバムの1ページ』と紹介されたのは、『5曲の遺作』の第2曲。『アルバムの1葉』とか、『アルバムの綴り』、『音楽帳の1ページ』とも呼ばれます。フランスの作曲家ですがスペインの情緒を感じる曲を遺し、フランス・ピアノ音楽の新しい世界を開きました。ラヴェル、ドビュッシーの書く音楽にはかけがえの無い存在。

お盆の熊本。大雨も祖先の力で澄み渡った青空に!

☀第291回蓄音器でレコードを楽しむコンサートは、7月22日になりました。お間違えなく!

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大雨が続いていました熊本。連日早朝には雷雨が激しかったのですが、今朝は昨日までの大雨土砂崩れ警報が嘘のよう。天気予報では今日、明日も大雨と言う事でしたがどういうことでしょう。明るい日差しと晴れ渡った青空、蝉の声も賑やかでいつもの夏の朝のようです。市内は7月15日をお盆としていますので昭和28年の大水害を知る祖先が1日だけでもと安堵できる朝をもたらしてくれたようです。

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沖縄からのコンサート、集え!熊本博物館へ – 第290回 蓄音器でレコードを楽しむコンサートのご案内

第290回 蓄音器でレコードを楽しむコンサートのご案内

  • 日時:平成24年6月24日(日曜日) 午後1時30分より
  • 場所:熊本博物館 特別展示室

沖縄からの歌特集 沖縄民謡ルネサンスの時代

1957年頃からラジオ放送が盛んになり、琉球民謡は丸福レコードに押されていました。そこで奮起したのが丸高レコードでした。東京のビクターレコード会社にお願いして制作を始めたのです。
当時は沖縄から10名ほど東京に船で渡り、約1ヶ月間滞在してかなりレコードが吹き込まれました。
丸高レコードの興隆の時代です。

第290回蓄音器でレコードを楽しむコンサートのご案内 沖縄からの歌特集

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ハート・フロム・バーンスタイン 優秀録音★バーンスタイン指揮NYP チャイコフスキー:交響曲No.4

弦楽器群が前面に並び金管楽器群を後方に配している立体感で、音場はスピーカーの外側に広がる印象の優秀録音盤。ホールに広がった残響に身を置くようではなくて、ステージ上の楽器の存在感がエネルギッシュで実の詰まった音です。米コロムビア録音のニューヨーク・フィルとの演奏盤に限るところではなく、こうした音作りはバーンスタインがウィーン・フィルとドイツ・グラモフォンに録音したレコードからも感じられました。

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街角カフェを開こうかというお店のすてきな音楽の演出に – 華麗な優秀録音★ドラティ パリ1917〜1938 試聴とダウンロードが出来ます

ビートルズの初期盤を彷彿とさせる。米マーキュリーらしい鮮明、華麗、色彩感とエネルギーに溢れた優秀録音盤。クラシック録音のステージ感がまだ馴染まないと言った、耳慣れして居ないけどクラシックを聴き始めたい。そういう向きにはマーキュリー録音をマークして欲しい。このレコードにはみんなが好きなサティの数少ないオーケストラ曲が収録されています。試聴ダウンロードが出来ます。

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“神の手で創られた” 史上最高の女流ピアニスト マルタ・アルゲリッチの日 – 《音楽カレンダー》6月5日 : 視聴できます

美人コンテストに出て、優勝しないでもお仕事が来たり、新しい出会いが始まる。むしろ優勝者よりも面白い未来があったりします。国際コンクールは、入賞することは偉業ではあるけれども達成ではない。遺業に帰されるものではありません。その後に意行とするために活かして欲しいというのが多くの国際コンクールの、開催の本意でしょう。アメリカの名の知れたピアニストのコンクールは、国際的な演奏会を一度だけ公演してくれる。このコンクールの優勝者は10代が代表しています。

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《指揮者の肖像》歌手の上半身裸はよく見るけれども指揮者の裸は彼が唯一かも… Recomended Recordings

何かがわたしを導いてくれる。・・・そう常々言っている指揮者のズービン・メータ。昨年の東関東大震災のあと、いち早くチャリティーコンサートを開いたのもご縁でしょう。
インド生まれで、初めて西洋クラシックの世界で成功した音楽家。彼が30歳代に続々とリリースしたアナログ・レコードには、そのことが絶えず纏ついていました。
それだけでもエキゾティックな印象を受けたのに、その頃聞いた曲が《春の祭典》であり、おそらくこの曲を最初に聞いた時の指揮者だったのではないかと今朝、改めて気がついたところです。

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SOLDOUT★英DECCA PHASE4 PFS 4345 リッチ(Vn)、フルネ指揮オランダ・フィル/チャイコフスキー、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

Pfs4345soldout

通販レコード

【協奏曲】オーダーの受付http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e574898.html

  • レーベル:英 DECCA(PHASE4)
  • レコード番号:PFS 4345
  • オリジナリティ:PHASE4

曲目:

  1. チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
  2. メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

演奏:

  • ヴァイオリン:ルッジェロ・リッチ
  • 指揮:ジャン・フルネ
  • 管弦楽:オランダ・フィル

価格改定販売中


 アナログ・オリジナル盤について、詳しくはこちらをご覧下さい http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e603721.html

価格 ¥6,000(¥6,300 税込み、送料無料)
70% OFF
このレコードはSOLDOUTしました。2012年5月29日、午後8時から9時配達で発送済みです。
新価格 ¥1,800 (¥1,890 税込み)
お買い上げ合計¥5,001円以上で送料無料)

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SOLDOUT★独DEUTSCHE GRAMMOPHON 2531 335 ベーム指揮ウィーン・フィル、モーツァルト:交響曲No.29,No.35《ハフナー》、フリーメーソンのための葬送音楽

Dg2531335soldout

☆通販レコード 価格改定58%OFF

【交響曲】詳細は通販サイトで確認ください http://amadeusclassics.otemo-yan.net/e403759.html

  • レーベル:独 DEUTSCHE GRAMMOPHON
  • レコード番号:2531 335
  • オリジナリティ:ブルーリング・ラベル、1stラベル

曲目:

  • モーツァルト:交響曲 No.29、No.35、フリーメーソンのための葬送音楽

演奏:

  • 指揮: カール・ベーム
  • 管弦楽:ウィーン・フィル
価格 ¥6,000(¥6,300 税込み、送料無料)
58% OFF
このレコードはSOLDOUTしました。2012年5月29日、午後8時から9時配達で発送済みです。
新価格 ¥2,500 (¥2,625 税込み)
お買い上げ合計¥5,001円以上で送料無料)

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SOLDOUT★ベートーヴェンの交響曲演奏の金字塔★独DEUTSCHE GRAMMOPHON 2530 706★ブルーリングラベル★カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィル、ベートーヴェン:交響曲No.7

高額のレコードではけしてないのですが、カルロス・クライバーのレコードの入手は難しいです。発売後すぐに高い評価も受けて、枚数は随分と市場に出ていると思います。ちょうど、アナログからデジタルの転換期で、この時期のクラシックのサンプルLPも随分と手元にありました。その中にカルロス・クライバーのレコードもあったので良く楽しみました。

価格を改定しました。6,300円(税込み)を3,990円(税込み)に36%OFFに価格を下げました。ご注文合計5,251円(税込み)以上で、送料無料です。

Dg2530706

価格 ¥6,000(¥6,300 税込み、送料無料)

36% OFF

このレコードはSOLDOUTしました。2012年5月29日、午後8時から9時配達で発送済みです。

新価格 ¥3,800 (¥3,990 税込み)

お買い上げ合計¥5,001円以上で送料無料)

アナログ・オリジナル盤について、詳しくはこちらをご覧下さい amadeusclassics.otemo-yan.net

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