対向配置の弦楽と名手ぞろいの管楽とが醸し出す奥行きのある音色*クーベリック バイエルン放送響 シューマン・交響曲全集

クーベリックが好んだ対向配置の弦楽パートと、名手ぞろいの管楽パートとが一体になって醸し出す奥行きのある音色に魅了される。

 ラファエル・クーベリック(チェコ 1914〜1996)は初心者も上級者も楽しめる音楽を聴かせてくれる。この頃のクーベリックはドイツ・グラモフォンでもカラヤンやベームとならんで売り出されていた指揮者で、音楽雑誌でグラモフォンの広告をみると、よくこの3人の顔写真が並んでいたものでした。
 その演奏に、ブルーノ・ワルターやフルトヴェングラー ― 柔軟な感受性と潔癖な音楽観、思索的な表情において ― この二人の素質に共通点を見いだすことは不可能ではないが、彼に欠けるものは魔性的な自我である。

 弦の国チェコの黎明期を支えた大ヴァイオリニスト、ヤン・クーベリックを父に持つサラブレッドの音楽家ラファエル。若くして指揮者デビュー、ターリッヒと伴に1930年代からチェコの楽団を支えたが、1948年祖国のクーデターによる政治体制崩壊を契機に米国に亡命、1950〜53年シカゴ交響楽団の常任時代、反共産主義の反発に遭い不遇の時代と揶揄されていますが、同時期に英 EMI 社や独 DGG と契約。レコード製作に対して不偏の熱い想いを汲み取るに足る名演を展開しています。クーベリックの清楚で無垢な表現の特徴が、エーリッヒ・クライバーを父に持つカルロス・クライバーを思い起こさせたりします。
DE CBS 79324 クーベリック シューマン:交響楽団全集/マンフレッド序曲

通販レコードのご案内《ドイツ・プレス盤》DE CBS 79324 ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団 シューマン:交響曲全集/マンフレッド序曲

 本盤は、最充実期のクーベリックが手兵バイエルン放送交響楽団と残したシューマン。ゆったりとしたテンポで進められるが、音楽が剛毅で折り目正しく、まったく弛緩しない。まさにドイツ音楽というべき演奏。オーケストラの渋めの音色も作品によく合っている。モーツァルトの一連の後期交響曲集が素晴らしく思えた通り、その自然に流れる抒情性が共通していて好ましい。誰がこんなに朗らかに人間味のある演奏が出来ようか、クーベリックの素朴な音楽作りが、これらの曲にとてもフィットしている。ここ数年、シューマンの交響曲の録音は活発で、そういう中でこの演奏は、「普遍的で古典的な演奏」。若い指揮者が勢い込んで聴かせる生気溌溂ぶりはここにはなく、また個性的指揮者がもったいぶって聴かせる妙に重い神秘性もなく、オーケストラのごくありふれた古典的レパートリーとして処理されている。

 ベートーヴェンと相性の良いクーベリックなので、重くならずしっかりと刻む音楽の歩みはベートーヴェンを聴いているかのように広大な景色を眺めるような感覚である。角がなくまろやかでかつ密度の濃いバイエルン放送交響楽団も相変わらず素晴らしい。端正で粘らない演奏ながら美しさ、哀愁感も十分表現されている深みのあるバイエルン放送交響楽団の音色に、何よりも引き込まれる。曲の性格とクーベリックの特性が最上の相性を示している、曲想に最適な速度で強さとしなやかさを併せ持つ演奏。特別な加速や減速を用いることなく充実した音楽運びで盛り上がりをつくり上げる。
 クーベリックは対向配置について、「弦楽器によってオーケストラの前面に壁をつくる」という意味のことを以前語っていましたが、その壁の透明度がどこまでも高く理想的に聳え立てば、弦楽の壁越しに聴こえる管楽器が弦楽の壁に遮られること無く、最高の響きで突き抜けてくる思い切りの良い管楽器のパワーを聴かせてくれているだけでなく、その弦楽の壁とのコラボレーションが、奥行き感のある音色に、さらに相乗効果を引き出しているようで、もうこの音の響きや色合いを聴いているだけでも、なにかとてつもなくありがたい福音を聴いていような気がしたほどでした。
 首席指揮者を20年近く務めたバイエルン放送交響楽団を退任する最後のシーズン(1979年)に録音。この退任前後にCBSに録音したLP9枚分の演奏は、この名指揮者の最円熟期の芸術の深まりを刻印した名演ぞろい。クーベリックによるCBS録音の劈頭を飾った名演で、1960年代のベルリン・フィルとのドイツ・グラモフォン盤に続く2度目のシューマンの交響曲全集録音となった。
 ヨーロッパ屈指の音響を誇るミュンヘンのヘルクレスザールにおけるセッションで収録されたアナログ最後期の名録音でもある。音楽の局面に合わせて繊細微妙に移ろい、対向配置の弦楽パートと、名手ぞろいのバイエルン放響交響楽団の管楽パートとが一体になって醸し出す奥行きのある音色は、まさにシューマン演奏の理想像ともいえる。
1979年5月18日~26日(1-3番)、1979年9月27日~30日(4番、マンフレッド序曲作品115)ミュンヘン、ヘルクレスザールでの録音セッション。

通販レコード詳細・コンディション、価格

Rafael Kubelik, Bavarian Symphony Orchestra ‎– Schumann - Symphonien No.1-4, Manfred Overture

プロダクト

レコード番号
CBS79324
作曲家
ロベルト・シューマン
オーケストラ
バイエルン放送交響楽団
指揮者
ラファエル・クーベリック
録音種別
STEREO
DARK GRAY WITH BLACK LETTERING, STEREO 3枚組 (120g/120g/120g), Release 1979。

販売レコードのカバー、レーベル写真

DE CBS 79324 クーベリック シューマン:交響楽団全集/マ…
DE CBS 79324 クーベリック シューマン:交響楽団全集/マ…

コンディション

ジャケット状態
M-
レコード状態
EX++
製盤国
DE(ドイツ)盤

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オーダーは 品番 / 34-27459
販売価格 8,800円(税込)



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