名曲名盤縁起 故郷への万感の思いを河の流れに託した名曲 スメタナ〜連作交響詩《我が祖国》より「モルダウ」

大国の強権に脅かされてきた小国には、「英雄的」と評される音楽家が出現して、大きな役割を果たすことが多い。19世紀半ば以降の民族自立の風潮にあっては、ノルウェーにグリーグ、フィンランドにシベリウス、スペインにファリャなどが登場した。チェコの場合は、ベドルジハ・スメタナである。
スメタナの命日には、チェコ国民が今も最も愛する《我が祖国》を聴こう。題名からして愛国的な音楽は、スメタナが聴覚を全く失い、過去の栄光とはかけ離れた困窮生活を送っていた1879年に書かれた6曲からなる連作交響詩で、いずれもチェコの自然と人々を愛した彼が万感の思いを託した標題音楽の傑作である。第2次世界大戦後に、彼の命日に開始される「プラハの春音楽祭」では、その開幕を飾る栄誉を担っている。《モルダウ》は、その第2曲。ボヘミアを南北に流れるヴルタヴァ河(ドイツ語ではモルダウ)の流れゆく様が、周囲の風景とともに描かれる。実に見事な祖国賛歌だ。

名曲名盤縁起 ウィーン・フィルを誕生させたニコライの人気作 ニコライ〜歌劇《ウィンザーの陽気な女房たち》序曲

ドイツのロマン派オペラの歴史を飾る作曲家・指揮者オットー・ニコライが、39歳を前にベルリンで夭逝した日。職業音楽家の父の跡を継ぐように強制されたニコライは、16歳で放浪の旅に出る。23歳でローマに赴き、イタリア伝統の教会音楽やオペラの作曲法を身に付けた後、ウィーンの宮廷に仕える音楽家になり、31歳で宮廷楽長にまで上り詰める。その時、ニコライは現代の私たちに至福の喜びを与えてくれるものを組織した。ウィーン・フィルハーモニー協会、つまりウィーン・フィルを生み出してくれたのである。
作曲家ニコライの最高傑作が、亡くなる前年、シェイクスピアの戯曲を題材にして書いた歌劇《ウィンザーの陽気な女房たち》だ。ドイツ以外の国での上演は稀だが、その序曲はとても人気が高い。ロマン派オペラらしい優美な序奏の後、軽やかで流麗な2つの主題によって、いかにもイタリア風のブッファにふさわしい、活き活きとして爽快な音楽だ。

オペラ入門の第一歩に ヴィントガッセン、ニルソン、ショルティ指揮ウィーン・フィル ワーグナー・神々の黄昏・ハイライト

録音、臨場感、演奏全てが、満足できる域に達している。

 アルベリッヒの子ハーゲンは父の遺志のために、指輪を奪うことを考えている。彼には異父兄弟のグンターとグートルーネがいる。ジークフリートに過去の女性を忘れさせる薬を飲ませてグートルーネに求婚させ、その条件にブリュンヒルデを騙してグンターと結婚させる。夫の裏切りを怒ったブリュンヒルデはハーゲンにジークフリートの弱点を教える。狩りで記憶を戻したジークフリートはハーゲンに殺されてしまう。ブリュンヒルデは夫を焼く火の中に飛び込むと、ワルハラ城も炎上してしまうという何とも云えない壮絶なストーリーだが、神話の世界のことだと片付けられないような現実感。現代の世界情勢は『指環』の呪いにかかっていたのか。 ― とまれ、このヒロイン・ブリンヒルデを演じられる(歌える)歌手は超限定されてくる。ソプラノに恵まれていた時代とはいえ、英デッカの人選は正しかったと思う。

 クナッパーツブッシュによる、1951年バイロイトでの「指環」全曲ライヴ録音のリリースを断念したカルショーは、スタジオ録音を計画。まず、「ワルキューレ」からその録音は始まったが(1957年10月)、クナッパーツブッシュはカルショー・チームに非協力的で、結局カルショーは、断念。その時の、クナッパーツブッシュによる第1幕の録音だけはリリースされた。
 どこからか働きかけがあったのかどうか、ショルティに白羽の矢を立て本セットの三幕テスト録音した結果、出来上がりは上々。最終的にショルティを指揮者に据え、レコード録音の偉業と讃えられた英デッカ社の「指環」全曲録音は完成。当然社運をかけたプロジェクト。ワルキューレ三幕テスト録音同様、録音、臨場感、演奏全てが、満足できる域に達していることは言うまでもない。

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 三夜の《神々の黄昏》でブリンヒルデを歌うのはスカンジナビア軍団と既に予行演習を済ませたフラグスタッドではなく同じく北欧出身ニルソン。こちらもフラグスタッドに負けず劣らずのヴァイキング譲りの大きな体格から発せられる奥行きを伴った深遠な声は、ピッタリ。ステレオ録音。

1965年10月~11月ウィーン、ゾフィエン・ザール録音

■プロデュース:ジョン・カルショー、エンジニア:エリック・スミス&ジェイムズ・ブラウン。名演、名盤、優秀録音。

GB DECCA SXL6220 – SOLTI Wiener Philharmoniker - WAGNER - Götterdämmerung HIGHLIGHTS

レコード番号
SXL6220
作曲家
リヒャルト・ワーグナー
演奏者
ビルギット・ニルソン ヴォルフガング・ヴィントガッセン ゴットロープ・フリック ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
オーケストラ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
ゲオルク・ショルティ
録音種別
STEREO


販売レコードのカバー、レーベル写真

GB  DEC  SXL6220 ゲオルク・ショルティ ワーグナー・…
GB  DEC  SXL6220 ゲオルク・ショルティ ワーグナー・…

通販レコード詳細・コンディション、価格

"MADE IN ENGLAND BY THE DECCA"WIDE BAND WITH GROOVED ED2, STEREO 1枚組(160g), Stamper 2W/2W, Release 1965。

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX
製盤国
GB(イギリス)盤

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モーツァルト生誕200周年に企画制作された記念碑的LP◉パリのモーツァルト ウーブラドゥ ブリュン ラスキーヌ

モーツァルトが3度に渡るパリ滞在時に作曲した作品をフランスの奏者のみで収録した「パリのモーツァルト」は、モノラル録音によるレコード史上に残る名盤として知られています。これは、伝説的名演のフランソワ=ジュリアン・ブリュンとリリー・ラスキーヌによる「フルートとハープのための協奏曲」を収録する第1巻。日本プレス盤ながら驚くほど瑞々しい音で再生されます。

イメージから程遠くドラマティック過ぎる◉フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル◯ベートーヴェン・交響曲6番「田園」

本盤聴くに際して戦後10数年しか経過していないのに大戦を戦った敵国の20世紀で最も偉大な指揮者のひとり、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーを最高の指揮者と見なしていた証左と思える傑作盤・・・米国はフルトヴェングラーを国の歴史の激動の時代を通じて、彼自身を偉大なドイツの音楽の伝統の忠実な守護者と見なし、決してスコアへの彼のアプローチはヒットラーのように独裁的ではなかったと感じ取っていたことが本盤からぷんぷん匂います??