鍵盤上の〝若き女神〟ヴァルキューレ★モニク・ド・ラ・ブリュショルリ モーツァルト・ピアノ協奏曲20番、23番

伝説のピアニスト・ブリュショルリの隠れた名演。

DE PANTHEON XP2390 モニク・ド・ラ・ブリュショルリ モーツァルト:ピアノ協奏曲20番/23番

通販レコードのご案内《独フラット 210㌘重量盤》DE PANTHEON XP2390 モニク・ド・ラ・ブリュショルリ ハインリヒ・ホルライザー指揮 ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団 モーツァルト:ピアノ協奏曲20番/23番

ハスキルに迫るデリカシーを見せる、奥ゆかしい表情。
〝若き女神〟と称されたモニク・ド・ラ・ブリュショルリのモーツァルト20番といえば、「ウィーンの笛時計」賞を受賞した名演中の名演としてアナログ時代に愛好されたパウムガルトナーとの1961年録音が有名だが、これはそれよりも10年前の初回録音でホルライザーとのモノラル録音。1951年頃と思われる。ブルショルリ36歳の時である。これが彼女の源流となる演奏だ。明るく鳴らす1961年とは大きく異なる。初回録音の方が大人びた老成した印象である。普通なら逆の変遷をするものだが、彼女の若い時期はこんな表情をしていた。
 ホルライザーはパウムガルトナーより、やや暗調で重厚なオーケストラを振るものの、その骨太の音は歯切れもよく、土台を固める。彼女のソロは、2回目より膨らみのある、やわらかい音で、奥ゆかしい表情である。2度目の方が明るく軽快だ。ピアノはこちらの方が太い音がしている。鳴らし切らず寸止めのような弾き方。ハスキルに迫るデリカシーを見せる。この今にもとろけそうな程の夢見心地なピアノは、この初期だけのものだった。しかし、残念ながらこちらの旧録音は全く知られていない。
 モーツァルトの光と影、優しさと激しさを見事に表現したブリュショルリのかけがえのない名演。あなたはどう感想を持つのでしょうか。ブリュショルリに興味がある人はもちろん、広くピアノを愛する人に聞いてほしいレコードです。

1951年頃ウィーンでのモノラル録音、録音詳細不明。米国では1956年VOX:PL 16020で初リリース、ドイツではPantheon:XP 2390で初リリース、ステレオ存在せず。パウムガルトナー指揮とは別の初回モノラル録音なので混同されないよう注意されたい。

販売レコードのカバー、レーベル写真

  • DE PANTHEON XP2390 モニク・ド・ラ・ブリュショルリ…
  • DE PANTHEON XP2390 モニク・ド・ラ・ブリュショルリ…
BLUE WITH GOLD LETTERING, MONO FLAT (210g), Release 1955。
 往年のフランスの名手、モニク・ドゥ・ラ・ブリュショルリは、残された商業録音が少なかったこと。その圧倒的なピアニズムで1960年代にヨーロッパ楽壇で一世を風靡した存在でしたが、1966年12月18日、ルーマニアでの楽旅の移動中に交通事故に遭い、51歳で引退したことから幻の名ピアニストとして生前から伝説的存在だった。
 幼くして目覚しい楽才を発揮し、1930年代後半から精力的に活躍、大変な人気を誇った存在でしたが、レコード録音を移動先で思いのままに出来た演奏家は ― カルーソー、ワンダ・ランドフスカ、ロッテ・レーマン ― 限られていた。ナチス・ドイツのパリ占領中の1943年5月14日に、アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団と共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番が、最初のSP録音となったのですが発売を差し止められます。この頃、パリに軟禁状態にあったフランスの名手たちはベートーヴェンやモーツァルトなど独墺系の作品に素晴らしい演奏を示すことで、自国民を励ますとともに暗にナチスへのレジスタンスの意思を示しました。
 ベートーヴェンやモーツァルトは独墺だけのものでなく、世界共有の芸術遺産との考え方からです。しかも両者ともフランス革命から思想的に大きな影響を受けた作曲家でもありました。ジャック・ティボーはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番やヴァイオリン・ソナタを録音、マルグリット・ロンはベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》を録音、発売しました。ティボーとロンがナチス占領下の1943年にロン=ティボー・コンクールを創設したのも、フランスの芸術文化の素晴らしさを示すことで、若手アーティストや自国民を励ますためでした。ブルショルリとクリュイタンスも、思いは同じだったと思われます。
彼女はヴァルキューレとなり、グランド・ピアノは軍馬となり、いまオクターヴ征討の戦いに進発する
(ヨアヒム・カイザー著、吉田仙太郎訳『現代の名ピアニスト』白水社刊)
 彼女の商業録音はLP初期の米VOXやオイロディスクのものが有名で、その名声に比して録音量は決して多いと言えず、ヨアヒム・カイザーの賛辞も今一つ実感されない嫌いがありました。

モニク・ドゥ・ラ・ブリュショルリ Monique de la Bruchollerie (1915〜1972):パリで生まれたブリュショルリは代々が音楽家として一家をなして来ました。彼女の先祖にはアドリアン・ボイエルデューやアンドレ・メサジェがいる。7歳でパリ音楽院に入学し、両親の親友イシドール・フィリップに師事。コルトーやザウアーに師事した後、1937年第3回ショパン国際コンクール(7位入選。優勝はロシアのヤコフ・ザーク。)やエリーザベト王妃コンクールに入賞。第二次世界大戦中はシュルル・ミュンシュが指揮するパリ音楽院管弦楽団との共演を繰り返し、情熱あふれる演奏で「ピアノの女王」として遇されました。
 戦後は世界を舞台に演奏旅行を行ない、1966年に来日して岩城宏之が指揮するNHK交響楽団と共演したサン=サーンスは、オールド・ファンの間で語り草になっています。しかし同年12月に、ルーマニアで自動車事故に遭い左手の機能を失い、演奏活動から引退を余儀なくされる。晩年はピアノ教師としての人生を歩み教育活動に献身しました。ブルショルリは現在活躍している大家シプリアン・カツァリスの先生にあたります。現代ピアノ界に彼女の音楽的遺伝子はしっかりと受け継がれています。

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

レコード番号
XP2390
作曲家
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
演奏者
モニク・ド・ラ・ブリュショルリ
オーケストラ
ウィーン・プロ・ムジカ管弦楽団
指揮者
ハインリヒ・ホルライザー
録音種別
MONO

コンディション

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX
製盤国
DE(ドイツ)盤


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オーダーは 品番 / 34-27429
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